登場人物

「見世物小屋っていうのは、インチキで出鱈目で、
とにかく良家の子女が見るようなものじゃないですから」

香山男爵家のご令嬢で、女学生。
卒業後は結婚が決まっているが、料理が苦手。
石榴屋敷の一件で、紫藤と知り合い探偵助手(見習い)になった。

「もうしゃべる必要はないぞ、
理穂子の秘密は全部、僕が暴くからな」

金髪碧眼のイギリス人とのハーフの探偵。
16年ぶりに日本に帰ってきて、探偵業をはじめた。
遠野の親友。

「八重はお二方の邪魔をするような無粋な女中ではございません」

香山家女中で、理穂子のお付き。
紫藤家に新しい女中が見つかるまでは、紫藤邸の女中も兼ねている。

「たまには俺にもこういう役をやらせてくれ。紫藤に取られっ放しじゃ癪(しゃく)に障(さわ)るからな」

海軍少尉の理穂子の婚約者。
子供の頃からの紫藤の親友。

「あれれ、違った?こっち方面は鼻が利くほうだと思ってたんだけどね?」

本名はお七(おひち)。
横浜大幻惑座の座頭代理を務める気風のいい女性。
舞台では蝶々髑髏の物体浮遊の技を見せる。

「あ、レツでいいよ。
レツさんなんて背中がかゆくなるって!」

本名は松尾列次(まつおれつじ)。
ポンプ男の異名で人間火炎放射の芸をする大男。

「さあ、お嬢さん! 蛇女にポンプ男、羅馬(ローマ)伝来の呪いのされこうべ、 蝶々髑髏の秘密も今夜明かされるんだよ!」

幻惑座の口上役の小男。
ナナや座長にも頼られているが、金にがめつい。

「あーあ! ばれちゃったー」

幻惑座で瞬間移動をする美少女。

「いやだよ、冷たくしないでおくれよ…
旦那さえよければお詫びに今夜ゆっくりと付き合うよ?」

本名、池田敏子(いけだとしこ)
離婚歴のある、美女。
幻惑座では蛇女役をこなす。

「それでは皆々様〜はい! はい! あれ? それ!」

本名は井上巴(いのうえともえ)。
美少女奇術師。得意技は水芸。
巴と呼ばれると怒る。

「…わたし、そんなんじゃないです……」

金髪、翠の目で混血。
幻惑座で人魚を担当。

「…探偵? 愛人探偵なんだね」

唐人の舞手。剣舞を得意とする。
女性にもてる。

「…あ…そ、そう…だね……」

幻惑座の居候。
引きこもりの天才人形師。

「私は…芸はなにもないんです…」

幻惑座の女中。
態度は悪いが、料理はうまい。

「あなたが遠野君の御執心のお相手なのだね。
どうぞよろしく」

男爵で、遠野の乳兄弟。

「いいのよ、私には別に取り繕わなくても。
愛の形なんて花の種類よりたくさんあるのだから」

慶一と結婚したばかりの新妻。
理穂子の女学校の卒業生。

「やれやれ、なんというか、すっかり怖がられてますねー… 脅かしちゃったみたいで、どうもすみません」

遠野家の書生。
九州の田舎から出てきたばかり。

「俺はね、旦那のお好みの娘の枕絵を描いてみせるぜ。 一品物でお楽しみですぜ!」

幻惑座の看板絵を描いている絵描き。
本業は枕絵の画家。